5年ぶりの道外遠征レースとなる「板橋Cityマラソン」。
平坦なコースと「12度晴れ微風」という気象条件にも恵まれ、25kmまでは順調に進んでいきました。
しかし、フルマラソン特有の大腿四頭筋がズキズキする感じが来はじめて、「こっからが真の勝負どころ」になってきます。
《25km〜30km》(2:11:43 ラップ22:14)
ハーフを過ぎた辺りから、6分遅れでスタートしたBブロックの速いランナーに抜かされる展開になってきました。
ただ、Aブロックのランナーには、あまり抜かれることはなく、むしろ抜いていったランナーの方が多かったと思います。
スピードはない分、後半の粘りが私の持ち味。
少しでも前半のペースをキープして、落ちていったランナーをずんどこ抜かしてリズムを作っていきたいところ。
29km手前の荒川橋梁下を走っていたとき、ちょうど上を電車が走っていて、けたたましいガタンゴトンという音に、集中力が乱れます。
その影響かどうかはわかりませんが、舗装の細かい段差でつまづきそうになり、おっとっととなりました。
かなり疲労で膝下の感覚がなくなっているようです。
腰の切り返しを早くして、できるだけ膝下の筋肉を使わないようにしながら走っていきましょう。
しっかりと路面状況を把握して、一歩一歩丁寧に。
29.8km地点の第11給水で「カフェイン入りモルテン」をぶっこみ、ゴールまでのエネルギー補給はおしまい。
あとはモルテンパワーを信じて、12km走るのみです。
《30〜35km》(2:34:13 ラップ22:30)
今までの30kmは「単なる移動」。
「30kmから本番だ!」と気合を入れ直します。
日差しはジリジリと肌に刺さるが、暑いと感じるレベルではない。
風は微妙にアゲンストだが、走りに影響するほどではない。
一ヶ月前、ズボズボ埋まる雪の中、8時間動き続けたことを考えると、天国のような条件だ。
頭に巻いた「別海アイスマラソン魂」で、12.195km駆け抜けよう!
序盤はあまり単調と感じなかった景色も、復路に入ると「退屈だな」と感じ始めるようになってきましたね。
集中力も徐々に途切れてきているようです。
とりあえず、次の橋までは頑張ろう。
でもって、橋を過ぎたら、また次の橋まで頑張ろうと、橋を目印にしながら必死に歩を進めます。
今思えば、どのくらいの間隔でどんな橋があるかってことを、あらかじめ予習しておいた方がよかったと思います。
札幌の豊平川を走っているときは、「あと、どのくらい走れば〇〇橋」ってのが全て頭に入ってるので、同じ河川敷でも橋をランドマークにすることができ、あんまり単調さを感じないのですよね。
「疲労+メンタルの低下」の影響か、この5kmが最遅ラップとなりました。
35km地点の大時計で「2時間34分」を過ぎていることを確認し、「あーあ、5km22分ペースから外れたか」と、ちょっとがっかりしました。
《35km〜40km》(2:56:39 ラップ22:26)
一旦落胆しましたが、35kmを過ぎた辺りから、カフェインが効いてきたのか、妙に頭がクリアになる感覚がありました。
左のハムストリングスが張ってきて、脚は限界に近いが、まだ気持ちは行ける!
モルテンパワーすげえ。
これってドーピングアイテムなんじゃないかってぐらいすげえ。
さすがお高いジェルだけある。
15km過ぎで離された「バカ殿仮装ランナー」を抜き返します。
行ける!まだまだ行けるで!
37km手前で「ごっしーさん!!」と大きな声が、後方から聞こえてきました。
姿は確認しませんでしたが、間違いなくりるさんでしょう。
というか、実際にりるさんでした。
知らないうちに私、りるさん抜かしていたのですね。
ここに来ての自分に向けられた応援は本当にありがたい。
りるさんの分も、しっかりゴールまで走り切ろう!
河川敷の大会は、都市型マラソンに比べると確かに応援は寂しい。
しかしその分、「応援慣れ」している人が多く、適切なタイミングでモチベーションの上がる適切な言葉をかけてくれる。
そして、会場にはいなくても、スマホの「応援Navi」で応援しているラン仲間もいる。
こういう苦しいときこそ、応援してくださる人々、そして給水などのスタッフの皆さんに感謝しながら走らなければ。
「自分のためだけ」に走ると、心というものはポッキリ折れる。
多くの人に支えられながら「走らせてもらっている」という謙虚な気持ちは忘れず、「今、ここ」に集中しよう。
私はみんなに守られている。
絶対大丈夫!
このブログで「PBやったぜ!」と報告して、読んでいる人が喜ぶような走りをするぞ!
なんて感じで気力は充実していたんですが、38km手前に罠がありました。
前半で「こっからスパートをかける」と決めていた、岩淵水門から下っていく坂。
一気にドスンドスンと、重力に任せて駆け下りていきます。
うわー、着地衝撃結構キツイかも。
でも、この坂を利用して、ギアを上げていくしかない。
一気にサブスリーペースでゴールまで突っ走ろう。
んで、下りが終わって平地に入り、明らかにギアチェンジに失敗しました。
左ハムストリングスがガクンとなる感覚があり、これは攣る一歩手前かと。
ここで万事休すです。
スピードアップは無理で、もう攣らないように慎重に走るしかありません。
今回の42.195kmの中で、唯一最大のミスでした。
下りは着地衝撃を抑えて、ピッチ重視で走るべきでした。
特に脚が売り切れかけている終盤では。
まあ、でも、攣りかけているのに、キロ4分半ぐらいで走らせてくれるヴェイパー様というシューズは本当に偉大だわ。
終始足は置くだけで、自分の力で蹴って走るのではなく、シューズの力を邪魔しないように脚を受動的に動かすって感じで走ることができました。
40km地点が近くなり、脱水気味なのか、両手の小指がしびれているけど、どうにかペースキープでゴールまで突き抜けるのみです。
《40km〜ゴール》(3:06:20 ラップ9:41)
40km地点で大時計を確認。
2時間56分台か。もうグロスのPBは無理だが、ネットならワンチャンある。最後まで諦めないで行こう。
若干脱水気味であったが、40.1kmの最後の給水はパスしました。
2kmぐらいなら持つと思ったし、何より給水でのペースの上げ下げによるロスがもったいない。
もうここまで来たら走ることだけに集中しよう。
「ミュージックスタート!」
「限界が来てからが勝負だ!」
「超えろを超えろ!」
「できっこないをやらなちゃ!」
と、某ランニング系YouTuberのセリフを頭の中でつぶやきながら、最後の力をふり絞ります。
41.9kmの戸田橋を超えて、度付きのサングラスを外し、ラストスパートをかけます。
しかし、裸眼視力0.1以下の私にとって、それは自殺行為なのであった。
前がぼやけて何も見えん。
ゴールがどこなのかも見えん。
サングラスを外すのは、もうちょい後でもよかった。
別に市民ランナーがカッコつけなくてもいいと思うんだが、ついついマラソン中継に出てくる実業団ランナーがゴール前でサングラス外すのを見ると、カッコいいと思い真似したくなるんだよな。
ゴール100mぐらい前で、「サブスリー行ける!」という子供の声にずっこけそうになった。
いやいやいや、もう3時間はとっくのとうに過ぎているのに。
サブスリーの意味を君は知っているのかと。
いや、純粋な子供の応援に対して、そういう感想を持ってはいけない。
これはきっと「(次のレースでは)サブスリー行ける!」という意味に違いない。
君の応援は無駄にしないぞ。
君のためにも、おじさん、次のレースでは絶対にサブスリーを勝ち取る。
そんな子供の声に押され、両手を広げ無事ゴール。
大時計の「3時間6分」という表示を見て、あーあ、やっちまったなあと。
せっかくこれだけのために、金と時間かけて東京まで来たのに、PB更新できなかったよ。
走ってきたコースを振り返る。
ああ、俺、こんなスカッとした最高の青空の下で走らせてもらっていたのか。
こんな最高の舞台を用意してくれたのに、どうして、事前にしっかり練習しなかったんだろうか。
軽い後悔の念を残し、私の「板橋Cityマラソン」は終わりました。
(次回、反省会につづく)