ゴシラン

走ることについて語ります

「間違う力」と「別海アイスマラソン」

一時期、「辺境作家」の高野秀行さんにハマっていた時期がありました。

 

「謎の怪獣を探す」「東南アジアでアヘン栽培をする」など、普通の人はやろうともしないことを、危険な目にあいながら、徹底的に真面目にやっている様子が、かえって笑いを誘い、高野さんの探検記は一流のエンターテイメントであった。

あと、マラソン好きなら、「世にも奇妙なマラソン大会」はきっと楽しめると思う。

 

 

そんな「基本が間違っている」高野さんが「自己啓発書」を書いていたことにびっくりした。

 

 

タイトルはズバリ「間違う力」。

正に高野さんの生きざまにピッタリのタイトルと言えよう。

 

目次を見ると

 

「他人の非常識な言い分を聞く」

「怪しい人にはついていく」

 

など、真面目な人が読んだら、目次を見ただけで、そっと本棚に戻したくなるような内容だ。

特に「怪しい人にはついていく」なんて、とても小さな子どもには読ませてはいけないところである。

 

ただ、私も高野さんほどではないが、最初から「基本が間違っている」ところがあるので、ある部分はすごく共感することができる。

それは

 

・他人のやらないことは無意味でもやる

・メジャーを捨ててマイナーを狙う

・一流よりも二流を目指す

 

というところである。

 

ラソンを趣味にしている人だったら、記録の面では「サブスリー」や「サブフォー」などを目指すのが主流であると思うし、大会であれば「東京マラソン」や「ホノルルマラソン」など大規模でメジャーな大会に憧れるものだと思う。

 

しかし、そういうメジャーなところは誰でも目指すところで、例えば「サブスリー挑戦」や「東京マラソン」などで検索をかけると、似たようなブログがたくさん出てくる。

圧倒的な文章力を持っていたり、ブログのカスタマイズがうまかったり、コミュ力があってブログ仲間が多かったり、理論的なトレーニング方法を説得力を持って説明できる能力があれば「メジャーどころ」で勝負してもいいわけだが、残念ながら私にそこまでの能力はない。

才能のない私が、ブログでそこそこのアクセス数を稼ぐためには、「誰もやらない変態なマイナーなことを独自の視点で書く」路線で行くしかないのである。

というか、自分では普通のことをして普通のことを書いているつもりでも、どういうわけか「ニッチ」な「間違った方向」へ進んでしまう私なのである。

 

そういう意味では、「マイナス20度」になる可能性があり、「陸ではなく凍った海の上を走る」イベントの「別海アイスマラソン」は「間違う力」を試すには絶好の舞台である。

誰もやらないバカバカしいことを、本気でやることに、私のアイデンティティは存在するのである。

本当か?

 

私は基本的に競争が嫌いなのだろう。

高倍率の抽選やクリック合戦で必死になって参加する大会よりも、参加者が数十人ぐらいのマイナー大会の方が燃えるところがある。

でもって、そんなマイナー大会のよさを伝える人はあんまりいないので、僭越ながら私がそういう役目を果たしたいというところもある。

 

別海アイスマラソンは、氷の上という特殊な環境ではあるが、制限時間は「38km地点で7時間」とゆるく、恐らく普通のフルマラソンを5時間ぐらいで完走できる走力があれば、防寒にさえ注意すれば完走は難しくないと思う。

そんな「あんまりハードルの高くない」「ちょっと変わったこと」を「徹底的に真面目にやる」。

そういう人に私はなりたい。

 

ちなみに冒頭にあげた高野さんの「世にも奇妙なマラソン大会」は、氷の上ではないが「砂漠の中」のフルマラソン大会である。

当時15km以上走ったことのない高野さんであったが、こういう大会に勢いでエイっと参加申し込みをしてしまうところに、真の「間違った力」を感じる。

私は10回ぐらい生まれ変わっても、高野さんの域に達することはないだろう。

真の「間違った力」への道は遠い。

が、別にそこまでたどり着かなくてもいいか。

自分にできる範囲の「笑って許せる」ぐらいの間違いが、ちょうどいいのではないでしょうか。

 

と、なんとなくまとまったところで、さようなら。