ゴシラン

走ることについて語ります

「第2回まちなかトレラン釧路大会」参加記(その4)

gossy54200.hatenablog.com

 

土曜の15時から始まった「24時間耐久レース」も、折り返し地点の日曜3時となりました。

あと70km弱走れば「夢の100マイル達成」です。

残された体力をうまく使いながら、「戦略を考える頭脳」を働かせ、更に「折れない心」を持ち続けなくてはいけません。

「心頭体」のバランスをうまく取っていきましょう。

 

とりあえず、3時で「4時間に1本」摂ると決めていたレッドブル3本目を飲みます。

よーし!元気100倍。

空もかなり明るくなってきて、また新たな1日のスタートが切られます。

 

3時半ぐらいで、東の空がほんのり赤くなってきましたね。

うわぁー、めっちゃきれいな朝焼けだ。

ここまで12時間以上走り続けていて、心身がかなり壊れかけているのもスパイスとなって、これが人生で見た中の一番の朝焼けなんじゃないかと錯覚してしまいます。

この感動を忘れないように写真に撮っておこうと、後で見直したら「なんでこんなもの撮ったんだ?」って思うレベルなんだろうなあ。きっと。

 

それでも、このとき実際に見た朝焼けの感激には嘘偽りなどないわけで、コース上で出会うランナーに「見て!見て!朝焼けめっちゃキレイ!」と、叫びかけたい衝動にかられました。

もっとも疲労困憊しているランナーに、そんなこと話しかけてドン引きされるの嫌なんで、今まで通り、無表情で淡々と走っていたわけなんだがな。

私は基本そういう奴だ。

 

4時過ぎに100km到達。

特にこれと言った感慨もなし。

「よく100km走ったよ!」とか「うげぇ、まだ60kmも残っているのかよ」なんてことは思わずに、目の前の「100.1km、100.2km…」を淡々と目指していきます。

とにかく「今」に「集中」あるのみ。

 

日の出の時間も過ぎ、すっかり明るくなったので、ヘッドライトを外し、サングラスをかけます。

早朝から太陽がまぶしく、今日も暑い一日になりそうな予感。

 

105kmを過ぎた辺りで、「ちょっと脚がキツイかな。このまま走り続けると完全に潰れて大ブレーキになってしまう。ここが緩め時だ」と判断しました。

ついに歩きを交えます。

一周1.6kmのコースの1.2kmは走り、残り0.4kmは歩くという「戦略的ウォークブレイク」を入れることにします。

ウルトラマラソンには復活がある」ので、歩きながら復活のときを待とうという作戦に出ます。

 

この戦法で5周ぐらいは順調に進んでいきましたが、「復活」の兆しは全く見えず、更なるペースダウンを強いられます。

よーし、「ウォークブレイク フェーズ2」だ。

今までの「1.2km走り、0.4km歩き」を「0.8km走り、0.4km歩き」に切り替えよう。

 

しかし、もう走るエネルギーは残っていなかったですね。

0.8kmどころが100mも走れない状況になってしまいました。

どこか故障したとか、足がどうしても痛くてたまらないってことはないんですが、もう身体全体がふらふらで力が入らず、ガス欠を起こした感じですね。

とは言え、もうジェル以外のものは口に入らないし、少しでも体力の消耗を防ぎながら、進み続けるしかない。

 

ここまでの距離は115km。

6時になって、会場には「8時間の部のランナー」が集まり、開会式が始まりました。

8時間の部のスタートである7時までに、120km進んでおけば間違いなく大丈夫だ。

全く根拠はないのだが、「残り8時間で40km」だと絶対大丈夫という自信があった。

その自信が一体どこから出てきたのかは不明。

 

歩くにしても、ただダラダラ歩いていたわけではありません。

競歩チックに「キロ9分」ぐらいのペースでスタスタと歩いていました。

一応、こんなこともあろうかと、「潰れたときの歩き方」も研究していました。

 

 

この「みやすのんき先生」の本は、ものすごく参考になりました。

「早歩き」というと、とにかく「大股でのっしのっし歩く」とイメージされる方が多いと思いますが、マラソンで潰れて筋力が残っていないときに、大股で歩いてもすぐに疲れて歩けなくなってしまいます。

あまり筋力に頼らないように、股関節から脚を小股で動かし、足は重心真下に着地させ、ピッチを上げてスタスタ歩くのが、マラソンで潰れてからの「正しい歩き方」だと思います。

キロ9分ぐらいのスピードなら「小股でスタスタ」でも十分出ます。

ウルトラマラソンをやられる方は「潰れ対策」として、上の本を読んでおくことを強くおすすめします。

 

「スタスタ歩き」が功を奏したか、8時間の部が始まる7時の段階で120km到達いたしました。

 

残り8時間で40km、楽勝だ!

 

このときの私は、心の底からそう思っていました。

しかし、今になって冷静に考えてみると、これはとんでもないことであり、「札幌からなら岩見沢」「東京からなら八王子」「名古屋からなら四日市まで」という移動を、120km走った後のボロボロの脚で進むことを意味しています。

こんなとんでもないことを、何の疑いもなく「楽勝だ!」って思うんですから、レースの持つ高揚感は恐ろしいものです。

でもって、マラソン以外でも、何か大きなことをやり遂げるのは、理屈抜きで「楽勝だ!絶対できる!」と、一点の曇りもなく信じられる状態で起こるんだろうなあと思ったのでありました。

 

ウルトラマラソンはフルマラソン以上に「心」が占める割合が大きいと思います。

ちなみにレースが終わった今だと、こんな状態で40kmも進めるなどとは絶っっっ対に思いません(笑)

 

(つづく)