ゴシラン

走ることについて語ります

ロードバイクで阿寒湖・弟子屈へ

ずーっと週末はランニング三昧の日々を過ごしていましたが、大会も近くなって脚を休める必要があることと、たまには違うことをして気分転換をするのもいいかと、土曜日は久々にロードバイクを引っ張り出して遠くへ行くことにしました。

 

 

最近、BIGBOSSこと日本ハム新庄監督が、お高いロードバイクで札幌ドームに登場したと話題になりましたが、私のロードバイクはBIGBOSSの1/10以下の値段です。

まあ、それでも100kmぐらい走るには全然支障がないので、自分の身の丈にあったものを使っていきましょう。

正直、私のような貧乏性の人間が、あんな180万もするロードバイクをゲットしたところで、もったいなくて床の間の観賞用バイクで終わってしまうような気がする。

 

 

まずはサイクリングロードを阿寒方面へと進んでいきます。

ずーっと寒くて、自転車に乗るにはちょっとキツイなって気候が続いていたのですが、この日は一気に夏が来たんじゃないかってぐらいの快適な気温でしたね。

この地で快適にロードバイクに乗れる期間は限られていますので、乗れるときにしっかり乗っておきましょう。

 

 

阿寒の道の駅で休憩。

ここまで36km。

 

 

ようやく外でソフトクリームを食べられる季節になりました。

夏のサイクリングの補給食は、ソフトクリームに限ります。

 

 

んで、今度は阿寒湖へ向けて、国道240号線を北上していきます。

峠ってほどキツイ坂ではありませんが、40kmほど緩やかに上っていく感じですな。

「ヒグマ出没注意」の看板におびえながら、時々ベルを鳴らしたりして、ずんどこと進んでいきます。

 

 

阿寒湖到着。ここまで76km。

13時の気温は23度と、釧路民にとっては真夏のような気候でしたね。

自転車で来たのは4年ぶりぐらいだろうか。

一度は観光船に乗ってみたいなと思いながら、すでに7年の月日が過ぎている。

きっとこのまま一度も観光船に乗らずに人生終わってしまうのだろう。

本当に観光船に乗りたいと思ったら、最初来たときにスパッと乗ってしまうものなのだ。

 

 

こっから峠超えルートになるので、がっつり飯を食って栄養を蓄えましょう。

 

 

ここの食堂は、いかにも阿寒湖らしいネーミングの「まりもラーメン」や、道外からの観光客向けの「味噌バターコーンラーメン」がおすすめメニューとなっているのだが、そんな観光客が食うようなものを地元民が食うのもあれなので、3番目のおすすめメニューであった「カツラーメン」をチョイス(1150円)。

 

いただきます。

うん、いい意味で期待通りのラーメンである。

ちょっと昭和な感じの昔ながらのあっさり醤油ラーメンに、力強くカツが入っていて、その微妙なアンバランスさがよい。

子供の頃、ローカルスキー場のロッジで食べたラーメンのような懐かしい味わい。

観光地のラーメンは、変に凝ったものにしなくても、こういうのでいいんですよ。

ごちそうさまでした。

 

では、こっから弟子屈に向けて、国道241号線「阿寒横断道路」を通っていきましょう。

最高地点760mのこの峠道が、今回のサイクリングのハイライトになります。

エナジードリンク一本ぶっこんで、HPを満タンにします。

 

 

峠道とは言っても、これと言った激坂があるわけではなく、5%ぐらいの坂がダラダラと続く感じです。

北海道の峠道は大体こんな感じですね。

ギアを軽くして、えっちらおっちらと進んでいきましょう。

 

 

峠の頂上付近にある「双湖台」「双岳台」が、この「阿寒横断道路」の絶景ポイントです。

観光客っぽい車がそこそこ停まっていましたね。

雄阿寒岳の山頂には、ちょっと雲がかかっていたのが残念でありました。

 

峠の頂上を過ぎたら、弟子屈市街に向けて20kmぐらいひたすら下りが続きます。

一度ディスクブレーキの自転車を経験すると、テクトロリムブレーキの効かなさっぷりに恐ろしさを感じますね。

まあ、私は下りのスキルもないので、常にブレーキレバーを握りながら、40km/hぐらいでゆっくり降りていきます。

 

 

道の駅摩周で最後の休憩。

ここの道の駅には「足湯」もあります。

入らなかったけど。

 

 

昼間、阿寒湖の食堂で見たガイドブックによると、ここの道の駅のイチオシメニューは「エゾシカバーガー」ということで、どんなものかと試してみた(600円)。

 

鹿肉は「固くて味が薄い」と、あんまりいい印象を持っていなく、正直、このハンバーガーには全く期待していなかったのだが、これは「んまいっっっっっ!!!!!!

食にこだわりがなく、ハンバーガーなどマクドナルドの130円バーガーで十分だと思っている私がうまいというのだから、間違いなくうまい。

肉は柔らかでジューシーで、鹿だと言われなければビーフだと思ってしまうような濃厚な味わい。

これは超おすすめです。

 

しかし、1日経った今となって冷静に考えてみると、きっとあれは峠超えのサイクリングで腹ペコになっていたから、うまさが3割増しになっていただけで、実はそうでもないんじゃないか?

でもって、この味わいをもう一度体験したいと、リピートしてみたら「あれっ?」と思ってしまうのではないだろうか?

私の持論であるが、食事というのは、食事そのものの味よりも、「腹ペコの状態であること」と「期待値が低いこと」の2つの条件によって美味しく感じるのである。

ガイドブックやTVのグルメ番組を見て期待値の高い状態で行くと、「そんな並んで食べるまでの価値はないんじゃない?」という感想を持つ、ひねくれた味覚を持つ私なのであった。

 

 

こっから自走で釧路に帰ってもいいんだが、ここまで118kmも自転車を漕いできたんで、「もういいだろう」と摩周駅から輪行で帰ります。

 

 

自転車のパッキングにめちゃくちゃ手間取った。

後輪外すのめんどいから、後輪外さんくていいタイプの輪行袋にしたのだが、ものすごく袋に入れにくく、どうやってもハンドルがはみ出し、列車の発車時間はどんどん迫ってくるしということで、「ええい、邪魔なハンドルなどこうだ!!」とハンドルを外して強引に袋の中に収めたのであった。

もうこのタイプの輪行袋は二度と使わん。

 

 

一両編成のキハ54ディーゼル気動車で、のんびりと帰ります。

私は新幹線のグリーン席や、飛行機のビジネスクラスを使うよりも、こういう旅の方がお似合いなのです。

 

列車の中はガラガラだと思ったが、人がたくさんいましたね。

座るところがなく、バカでかい自転車と共に、車両後方のデッキでひとり立ったままたたずんでいました。

座れなかったのは残念であったが、コロナ禍で大打撃を受けていたJR北海道も、ちょっとは客足が戻ってきたようで、また一歩「当たり前に旅ができる日常」が戻ってきているのだなあと。

窓側の席の客は、スマホやカメラを構えて、西日に照らされた車窓の釧路湿原を写していて、「観光客にとっては、いい北海道旅行になってよかったなあ」と善人のふりをする私なのであった。

 

 

車両の最後方で、流れていく景色を見ているだけで飽きませんね。

北海道のローカル線は景色を堪能するものであり、スマホの画面を眺めて時間をつぶすにはもったいなさすぎるのである。

 

 

途中、塘路駅で10分停車。

この看板を10分間見ていると、「かど屋のアイスってそんなにうまいのか。今度、車で通りかかったとき食べてみることにしよう」という気になるのだが、いざ、実際に車で通りかかるときには、そんなことは忘れているのだろう。

 

東釧路駅に到着して、自転車を組み立て、自走して帰宅。

「自転車+グルメ+列車の旅」と満喫した「質のよい孤独」を過ごした土曜日であった。

 

ロードバイクは、数年前までは速さを求めていたときがあり、「ちっとも速くならんくてやだ!」と、モチベーションが低下した時期もあったが、レースにはちっとも興味のない私にとっては、やはりロードバイクは、「競技機材」ではなく「旅の道具」なのだろう。

マイペースでゆっくりと、車では一瞬にして通り過ぎるものをじっくり見る。

そして徒歩やランニングでは行けないところまで行動範囲を広げていく。

そういう目的のためには、ロードバイクはちょうどよい相棒なのである。

 

一ヶ月に一回ぐらいは、こうして「質のよい孤独」を味わうのものいいなあと、改めて自転車との付き合い方を見直した休日なのでありました。

「引きこもり系アウトドア」には自転車はいい道具だと思いまっせ。

BIGBOSSのようなお高い自転車でなくても、「自分の脚でどこまでも遠くに行ける」という喜びを味わうことはできるのです。

 

さようなら。