私は一度走ることをやめています。
私の中で2002年〜2003年が「第一次ランニングブーム」で、このころは最大で75kgあった体重がぐんぐん落ちていって、走ることよりも体型の変化に喜びを感じていたときでした。
当時の北海道マラソンは「制限時間4時間」と、選ばれた人しか出ることができない（当時は参加申し込み時に、フル4時間以内の記録証のコピーの提出が求められていた）エリートレースであったので、私のようなへっぽこランナーは制限時間のゆるい「千歳JAL国際マラソン」（確か当時の制限時間が5時間半）に逃げるしかなかったのであった。
で、初めてのフルマラソンであった2003年の「千歳JAL国際マラソン」。
これがとんでもなく辛かった。
ハーフの時点で、すでに2時間20分を超えていて、このとき「そっか、私はQちゃんがフルを走る時間で、半分の距離しか走れないんだ」と落胆し、30km過ぎからは歩くような速度でしか走ることができず、ほうほうの体でどうにか5時間をかろうじて切るぐらいのタイムで完走はしたが、「こんな辛いことはもうたくさんだ！」と、しばらく再び走らない生活を送ることになった。
2011年。
すっかり走ることに興味を失っていた私であったが、どういうわけか北海道マラソンについて調べているうちに、以下のことを知った。
北海道マラソンの制限時間が4時間から5時間に伸びた
そうなのである。
2009年より、北海道マラソンの制限時間が緩くなり、「これなら私でも完走できるんじゃないか」とスイッチが入ったのであった。
私は基本、怠惰な人間であるが、一度「やる気スイッチ」が入ると、自分でも信じられないぐらいの集中力を発揮することができる。
「2011年は目標はこれだ！」と、8年ぶりに走り始めることを決意したのであった。
ただ、当時は「フル5時間以内、ハーフ2時間20分以内の完走実績がないと、参加しちゃダメよ」という縛りがあったので、その年の4月に行われた伊達のハーフで記録を出して、道マラの参加権をゲットしたのであった。
一応、6月の千歳JALで「道マラの練習」とフルマラソンを一本入れたのであるが、これが8年前のトラウマを思い起こさせるほど辛く、「やっぱ道マラやめようかな」なんて一瞬思ったりもしたが、かえって、この千歳の撃沈が、「このままではいけない！本気出さなきゃ！」と、ますますやる気を出す結果となったのであった。
千歳前は月間走行距離が100km程度と、完全にフルマラソンを舐めていたが、こっから心を入れ替えて月に200kmを目処に走るようにした。
8月に入ってからは、あえて気温が高い昼間に30km走を入れてみたりして、暑い北海道マラソンを完走するためならなんでもやってやろうという気分で、やたらめったらに走っていた。
そして迎えた、2011年の北海道マラソン。
当時は中島公園がスタート地点で、スタート時間は午後だった。
スタート前ですでに30度を超えるようなクソ暑さの中、ほとんど不安しかない中で、スタートは切られた。
とにかく無我夢中であったが、途中、クソ暑い中で「アンパンマンの被り物」をしているランナーを発見した。
うわー、こんなカッコでよう走るわと、半分呆れながら、彼の走りに注目していた。
アンパンマン氏は途中バテたようで、私はアンパンマンを抜かし、4時間20分ぐらいで無事に「北海道マラソン完走」という2011年最大の目標を果たしたのであった。
めでたしめでたし。
「北海道マラソンも完走したし、もうマラソンはいいかな」と思っていたところで、当時の私のブログに、何とあのアンパンマン氏ご本人からのコメントがあった。
”他のランナー、沿道の人にパワーを与えるためにアンパンマンになってます。
自分のタイムはどうだっていいですw”
この言葉に私はしびれた。
そっか、マラソンって自分のためだけではなく、人のために走るっていう楽しみ方もあるのかと。
気がつけば、私はアンパンマン氏こと「かっぱちゃん」率いるランニングクラブの一員になっていた。
未だ「人のために走る」ということはできていない小さな私であるが、必ずや他のランナーや、沿道の人にパワーを与え、応援してもらえるようなランナーになっていきたい。
これが今の私のタイムよりも重要な走るモチベーションなのである。
いろいろなことがあって、北海道マラソンのない寂しい8月最終週であるが、またこのメンバーで「利他の心」で思う存分北海道マラソンを楽しもう。
そんなことを思った、北海道マラソンを思い起こすような28度の夏空の下での、今日の20kmジョグでした。
さようなら。
