ちょっくらこんな本を読んでみました。
ランニングに関する本は、「この日はキロ○分で走れ。ポイント練習は週一回○曜日」とか、練習メニューに特化した本が多いですが、この本は「走動作」について徹底的に解説している本です。
(あえて「ランニングフォーム」とは書かない。重要なのはフォームという「静止した形」ではなく、どのように身体を「動作」させるかの意識づけだと私は思っている)
今まで私が読んだ本の中で、「走動作」について詳しく書いている本を挙げていくと
・みやすのんき先生の本
・高岡尚司さんの本
あたりが代表的なところではないでしょうか。
私は自転車にも乗るのですが、自転車雑誌は「ペダルはこう回せ」とか「ハンドルはこう握れ」とか「こういうポジションで乗れ」とか技術書的側面が強いです。
ところが、どういうわけかランニング雑誌は、「このスピードでこの距離を走りましょう」と練習メニューに偏っているものが多いような気がします。
もちろん練習メニューも大事なのでしょうが、高岡尚司さんの「ゼロベースランニング」に書かれているような「痛みが出るような走り方をしない」ことがもっと重要なのではないでしょうか。
どんなにキツイ練習メニューをこなすことができても、故障を繰り返すようでは元も子もありません。
《ランニング版TIスイム?》
この「ランニング革命」で、私が革命的だと思うことは
ランニング動作を分割して体系的にまとめている
というところです。
種目は違いますが、水泳のクロールで「TIスイム」なるメソッドがあります。
TIスイムでは泳動作を「スケーティング」「スイッチ」などのパーツに分割し、分割した動きをドリル練習して、それらをプラモデルのようにパーツを組み立てることによって、クロールをマスターするというコンセプトです。
「ランニング革命」に書かれている「ポーズメソッド」は、「TIスイム」のように走動作を「ポーズ」「フォール」「プル」に分割し、分割した動作のドリル練習を繰り返すことによって、効率的なランニングを身につけていくというメソッドです。
《ウサイン・ボルトもポーズメソッドを実践している?》
同じ走動作でも、マラソンと100mでは全然身体の動きが違って参考にならないという意見もあるかもしれませんが、ボルトの走りは美しいです。
上の動画で注目すべきところは、レース後の「ウイニングラン」で流して走っているところですね(1分15秒過ぎの部分)。
力みが完全に抜けて、歩くようにエネルギーを使わずに、効率よく走っているように見えます。
「TIスイム」を提唱したテリー・ラクリンさんが「トップスイマーが流して泳いでいるところを参考にした」と言っているように、我々市民マラソンランナーも「トップアスリートが流して走っているところ」に学ぶべき点があるのかもしれません。
この躍動感あふれるランニングフォームに目を奪われるかもしれませんが
ボルトの走りの肝はここにあると思います。
みやすのんき先生の著書(ひぃこらサブスリー)からの引用になりますが、「体重をグッと支え、地面からの反力を最大限にもらえるパワーポジション」が、この写真の示すところです。
このポジションが「ポーズメソッド」で言うところの、「ポーズ」のフェイズです。
ここがしっかりできていないと、ポーズに続く動作である「フォール」「プル」につながっていきません。
我々市民ランナーが再現し、真似すべきなのは、1枚目の写真ではなく、2枚目の写真なのです!
《方法論は素晴らしいと思うが、上辺だけ読んで真似すると怪我の元かも?》
ポーズメソッドでは
・フォアフット(前足部)着地
・ベアフット(裸足)またはベアフットシューズ(ナイキフリーとかの裸足感覚のシューズ)で走る
この2つを推奨しています。
ただ、ボースメソッドをマスターしないで、「身体の前方でのフォアフット着地」や「ふくらはぎや足首で蹴る」ような走り方をしていると、「踵着地」や「厚底シューズ」よりも簡単に故障してしまうと思います。
あくまで、ポーズメソッドが先で、それができると自然とフォアフット着地になり、裸足でもストレスなく走れるというアプローチが妥当であると思います。
以上、本のサワリの部分だけ説明していきましたが、これは読む人が読むと「トランプの大富豪で3が4枚来た」ときのような感覚を味わえるポテンシャルのある本だと思います。
各社で出しているカーボンプレートシューズに手を出す前に、「ランニング革命+ベアフットシューズ」で、安く革命を起こしてみるのも面白いのではないでしょうか?
さようなら。